1960年の夏頃、ロニ-・ウィリアムズがパル・レコーディング・スタジオにやってきて、10月にマスターズとしてのデビュー・シングルT Bone/ Sunday Blues(Emmy E-1006)をリリースした。このリリースは、ポール・バフによるものであり、リード・ギタリストにロニー・ウィリアムズ、リズム・ギタリストにジョニー・フィッシャーそしてドラムにバフというメンバーで、ザ・マスターズとしてのインストゥルメンタル・ナンバーであった。
ザッパはこの頃ウィリアムズに連れられて初めてこのスタジオを訪れた。早速ザッパは音楽活動に取りかかり、1961年1月にTake Your Clothes Off When You DanceとHigh Steppinを録音した。しかし、どちらも当時はリリースされなかった。その後、後者は1968年にVerve版のLumpy Gravyでスピードアップされた音源としてリリースされ、前者は1996年にThe Lost Episodesで初リリースされた。。
この当時、トゥワンギー・スタイルで一斉を風靡していたギタリストのデュアン・エディ(2)は、楽器の低音弦でメロディやソロを奏でてインストゥルメンタル・ヒットを飛ばしていた。バフとウィリアムズはテネシー・アーニー・フォードのヒット曲Sixteen Tonsにデュアン・エディの手法を適用しレコードを出すことにした。バフ達にはB面のアイディアを持ち合わせていなかったことから、ザッパにB面の作曲を依頼した。この曲の題名は当初Boomerangとしようとしたが、できあがってみたところ、ザッパ、ウィリアムス、バフはそれぞれトラック内でソロのブレイクを入れた典型的な3和音(I-IV-V)構造の高揚感のあるインストゥルメンタルとなったことから、曲名をBreaktime(3)とした。
録音はバフの自家製5トラック・レコーダーで3段階に分けて行われた。最初のステージは、1トラックにウィリアムズがドラムを演奏し、2トラック目にはバフのピアノとザッパのリズム・ギターを演奏するというものだった。その後、バフが録音ブースに行き、ウィリアムズが3トラック目でベースをオーバーダビングし、ザッパが4、5トラック目でギターのオーバーダビングを録音し、マスター・レコーディングを完成させた。しかし、レコード化において、このシングルの両面の最初のテスト・プレスは却下され、2回目に成功したプレスをリリースすることになった。そのためレコード両面のランアウトにはそのことを示す Reの表記が加えられている。
また、このレコードには両方のレーベルにはSupervised By Gary Priceのクレジットが入っている。ゲイリー・プライスはサンバーナーディーノとリバーサイドをエリアとしてカバーしていたカリフォルニアのラジオ局KFXMのイブニングDJだった。このシングルが作られた時、フィッシャーはパルに相談すること無く、監修クレジットをプライス名とすることで、このレコードを放送にのせ注目させることをプライスと約束したのだ。しかし、Sixteen Tons/BreaktimeはKFXMでは放送されなかった。その代わりにロサンゼルスのKRLAではニュースのリード・イン・ミュージックとして放送された。