ザッパは1961年6月にティモシー・キャリーの自費映画『世界で最も偉大な罪人』のサウンドトラックを任されていた。その夏、フランクは定期的にリハーサルを行い、多くのミュージシャンと共演した。ザッパは、カリフォルニア州ポモナのスポーツマン・タバーンThe Sportsman Tavern, 1055 East Holt Avenueでの3ヶ月間の滞在中にロニー・ウィリアムスギター、レックス・ジャカボスキーギター、ハーモニカ、ボーカル、ジョー・ペリノピアノ、ドワイト・ベメントテナー・サックス、アル・サラットドラムスの様々な組み合わせのメンバーとともにバンド活動を始めた。そして、このラインナップを拡大し、Battle Of The Bandsの大会で演奏する際にブラックアウトを結成した。レイ・コリンズとも知り合ったのはこの頃であった。

 スポーツマンのギグが終わった後、1961年11月と12月にカリフォルニア州アルタ・ロマのチャフィー・ジュニア・カレッジでThe World's Greatest Sinnerのバンド・レコーディングとオーケストラ・レコーディングが行われ、11月には映画のタイトル曲をパルのスタジオで録音した。ザッパのギタープレイは、半年前に録音したBreaktimeに似ているところが多かった。明らかにザッパは、ヒューイ”ピアノ”スミスと彼のバンド、クラウンズのWell I'll Be John Brown(Ace 553; 1958年11月リリース)で使われたバッキング・ヴォーカルの Chee poppa doodly woppaを聴いていたようであり、この時のサウンドをThe World's Greatest SinnerやJoe's CorsageのPlastic Peopleで再利用している。

 白黒フィルムスクリーンの約19秒の間に、ティモシー・キャリーはザッパのコリンズとバフとの録音の冒頭を利用しタイトルのテーマとした。このようにして、1962年6月に行われた映画のプレミア上映会では、The World's Greatest Sinner(映画と歌)が上映された。この映画は1964年にアブソリュート・フィルムズが19秒の編集ではなく、ザッパの録音の最初の52秒を使って再放送した。フル・レコーディングが聴けるようになったのは約16ヶ月後のことだった

 コリンズとザッパは、コミカルな番組として人気だったスティーブ・アレンと彼のウェスチングハウスのテレビ・シンジケート・ショーが好きだった。アレンの番組担当者のジェリー・ホプキンスは、フランクの提案した「ブローイング・バイシクル」、つまり自転車から音楽を作るという提案に興味を示した。ザッパはこの番組に出演した後にもらえる235ドルに興味を持っていた。1963年3月14日、ザッパはカリフォルニア州ハリウッドのノース・ヴァイン・ストリート1228番地にあるスティーブ・アレン・プレイハウスで「ザ・スティーブ・アレン・ショー」に出演した

 アレンは、How's your fern?やrat finkなどのキャッチフレーズを繰り返し使うことで知られていた。この狂気に乗じて、ザッパはコリンズとバフの作品How's Your Bird(ノー・クエスチョンマーク)を作った。これはザッパの作品で初めていびきの効果音が使われたものである。バフの5トラック録音能力にもかかわらず、最終的なマスターを作成する際に大規模なオーバーダビングが行われたため、音質がやや低下してしまった。How's Your Birdでは、ザッパがドラムを担当しており、B面に参加していたバフはドラムを叩いていない。グループ名のBaby Ray And The Fernsは、スティーヴ・アレンから影響を受けていることは明らかである。

 スティーヴ・アレンとのインタビューの最後に、ザッパはこのレコードのリリースが近々あることに触れていた。finkという言葉はHow's Your Birdで4回使われており、How's your grunion?という質問もしているが、これはインストゥルメンタルのGrunion Run(後述)の名前を予感させるものだった。fannyとgrunnyという言葉の韻を踏んだものは、後にBongo FuryのトラックDebra Kadabraの歌詞の中で使われることになる。スティーブ・アレンはザッパとの出会いに感銘を受け、1964年にシングルとしてリリースするためにHow's Your Sisterという曲を作った。How's your fern?は、ベイビー・レイとスティーヴ・アレンのシングルに共通する唯一の歌詞による台詞だった。

 バフとザッパは1963年3月、ドナ・レコードのボブ・キーンとの間でHow's Your Bird/The World's Greatest Sinnerのマスター・ライセンス契約の交渉を行った。マスター番号はオリジナルの録音日ではなく、どういうわけかレーベルのテープレシートの日付に基づいて付けられた。

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