イギリス盤の「Valley Girl」のA面には、またしてもムーンがクレジットされていない。このレコードは2種類の英国CBSレーベルのデザインで登場した。B面は「Teenage Prostitute」と間違って書かれていたが、ザッパは後のアルバム・ジャケットとレコード・ラベルに「Teen-age Prostitute」と記載した。

 「Teen-age Prostitute」は1981年12月11日にカリフォルニア州サンタモニカでライブ録音されたもので、翌月にはスティーブ・ヴァイがギター・パートをオーバーダビングしている。ボーカルのリサ・ポピールの父サミュエルは発明家でポピールブラザーズ社を経営しており、異母兄のロンコは1964年にロンコ社を結成した。リサは1981年にザッパのバンドでリハーサルを行ったが、ツアーが始まる前に脱退した。その代わり、サンタモニカの両公演にフランクのゲストとして参加した。序盤のライブでは、「Teen-age Prostitute」(このシングルと「Ship」LPに収録されているバージョン)と「Lisa's Life Story」(「Stage Vol.6」に収録)を歌っている。リサのレイトショーへの参加は、「The Dangerous Kitchen」(その一部は「Lisa's Life Story」に編集された)と「Teen-age Prostitute」の未発表バージョンだった。

 「Chalk Pie」は、「Teen-age Prostitute」の最初のバージョンとなるはずだった。ザッパは、リサ・ポピールとボブ・ハリスのリード・ヴォーカルはそのままに、他のヴォーカルをほとんど排除し、リード・ギターをジャッキアップして「Ship」のミックスを作った。「Teenage Prostitute」のシングルバージョンのスタートは、「Envelopes」の最後の4秒間が使われている。エンディングの観客の反応は、アルバム「Ship」のそれよりも短かった。ポピールがザッパと一緒に単独で登場した様子は、ビデオ「The Torture Never Stops」に記録されている。

 この組み合わせで発売されたのは、他にカナダ、オーストラリア、オランダである。後者の2カ国は、アメリカ盤と同じピクチャースリーブでこのシングルを発売した。カナダのシングル盤(Epic E4-8498)では、A面は4分58秒のフルミックス(詳細は後述)、B面は2分30秒のシングルレングスが使われていた。レーベルには「Frank Zappa featuring Moon Zappa」とクレジットされていたが、曲のスペルは「Valley Girls」と間違っていて、フランクの作とされた。B面はきちんと表示されていた。オーストラリア盤(CBS BA 222971)は、ムーンとフランクのクラシックなピクチャースリーブであるが、両面とも二人のものとされていた。両面ともイギリスのシングルのミックスと一致しており、B面のスペルも正しく表示されていた。改訂版のオランダ・シングルは、カタログ番号は前回と同じ。今回はフランク/ムーンのピクチャースリーブで発行された。オーディオ面では、2枚目のオランダ盤「Valley Girl」シングルは、両面とも「Ship」のアルバム・マスターを使用。A面のラベルにはムーンの名前がないが、B面はちゃんと表示されている。

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