オランダのCBSは、ザッパのシングルに関しては常に先手を打っていたようだ。このシングルは、CBSのレコード部門で唯一発売されたもので、ザッパにとっては最後の商品となった。ピクチャー・スリーブの表には、タニノ・リベラトーレの「The Man From Utopia」のアルバム・ドローイングが使われている。レコードのレーベルに記載されていたが、両面ともLPのミックスではなかった。両面ともに、ザッパがその性能を知って夢中になったデジタル・リバーブが追加されている。この「The Man From Utopia Meets Mary Lou」のミックスは、サンプラー「Barking Pumpkin Goes Digital」に収録されていたが、リバーブをかけてエンディングを完成させた「Sex」シングル・ミックスは、このレコードと下記のスペイン盤シングルにのみ収録されている。イギリスでは「The Man From Utopia Meets Mary Lou」が両面にこの曲を収録してプロモーション的に発行された(CBS XPS 180)。同国では商業的なリリースはなかった。

 「Sex」も1981年夏にザッパのホームスタジオで制作された曲である。ザッパがリードをとり、ボブ・ハリスとアイク・ウィリスがバックをつとめて歌っている。1982年1月初旬にザッパのドラム・プログラミングをチャド・ワッカーマンが担当した。このリバーブ・ミックスでも、オリジナル・バージョンには、1993年からCDに収録された2つの追加歌詞が入っていない。オリジナル・ミックスの抜粋は、「Understanding America」の「Porn Wars Deluxe」に収録されている。より長くリミックスされたものは「Have I Offend Someone?」に収録されている。

 コンセプトの連続性という点では、「Sex」では”ボンゴ(bongos)”、”壁の作業(working the wall)”、”地元のジョーン(the local jones)”という3つのトピックを扱っている。”ボンゴ”を扱った曲は他にも「Flower Punk」、「Dog Breath」、「Uncle Meat」、「Sam With The Showing Scalp Flat Top」、「Lemme Take You To The Beach」などがある。また、「Broken Hearts Are For Assholes」、「The Jazz Discharge Party Hats」、「You Are What You Is」、「Mudd Club」、「The Meek Shall Inherit Nothing」では、”壁を使った作業”が話題になった。”もう一つのジョーンズ”は「Jones Crusher」に含まれている。

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